花婿が差し替えられました
遺物を堪能して人混みから抜け出ると、先程アリスがいた辺りに彼女の姿はなかった。
違う展示でも見ているのかと辺りを見回したが、アリスの姿は見えない。
(馬鹿か、俺は…っ)
つい展示に夢中になって、長い時間アリスを放置してしまった。
呆れて帰ってしまったのか、時間を持て余して先に進んでしまったのか。
先の方に人だかりがあり、もしかしたら人気の展示があってアリスがいるかもしれないと寄って行ってみれば、なんと人だかりの中心にいたのは展示ではなくクロードの妻アリスだった。
アリスの周りを囲んでいるのは若い男たちで、どうやら一緒に見て回ろうと誘っているようだ。
「アリス!」
クロードは人だかりを掻き分けてアリスの元へ辿り着くと、彼女の手を取った。
「大丈夫ですか?」
焦ったようにたずねるクロードに、アリスはにっこり笑った。
「ええ。私が一人だと思って、皆さんご親切に案内を申し出てくださっていたの」
「案内…?」
ギロリと眼光鋭く辺りを見回せば、男たちはビクリと肩をすくめた。
「気づかいありがとう。妻が世話になりました」
「い、いえ…」
クロードに睨まれた男たちは、そそくさとその場を去った。
「すみません、一人にして」
「私なら大丈夫ですわ。どうぞ展示の続きをご覧になって」
「いや、二人で来ているのに離れて申し訳ありませんでした。それに、貴女を一人にするべきではなかった。貴女は目立ちすぎるのに…」
クロードはそう言うと唇を噛んだ。
アリスの容姿は異性を惹きつける。
それをわかっていながら放置するとは、とんだ馬鹿者である。
「またはぐれるといけないので」
小さく言い訳しながら、クロードはアリスの手を握った。
繋がれた手から熱を感じ、アリスは体中体温が上がるのを自覚していた。
違う展示でも見ているのかと辺りを見回したが、アリスの姿は見えない。
(馬鹿か、俺は…っ)
つい展示に夢中になって、長い時間アリスを放置してしまった。
呆れて帰ってしまったのか、時間を持て余して先に進んでしまったのか。
先の方に人だかりがあり、もしかしたら人気の展示があってアリスがいるかもしれないと寄って行ってみれば、なんと人だかりの中心にいたのは展示ではなくクロードの妻アリスだった。
アリスの周りを囲んでいるのは若い男たちで、どうやら一緒に見て回ろうと誘っているようだ。
「アリス!」
クロードは人だかりを掻き分けてアリスの元へ辿り着くと、彼女の手を取った。
「大丈夫ですか?」
焦ったようにたずねるクロードに、アリスはにっこり笑った。
「ええ。私が一人だと思って、皆さんご親切に案内を申し出てくださっていたの」
「案内…?」
ギロリと眼光鋭く辺りを見回せば、男たちはビクリと肩をすくめた。
「気づかいありがとう。妻が世話になりました」
「い、いえ…」
クロードに睨まれた男たちは、そそくさとその場を去った。
「すみません、一人にして」
「私なら大丈夫ですわ。どうぞ展示の続きをご覧になって」
「いや、二人で来ているのに離れて申し訳ありませんでした。それに、貴女を一人にするべきではなかった。貴女は目立ちすぎるのに…」
クロードはそう言うと唇を噛んだ。
アリスの容姿は異性を惹きつける。
それをわかっていながら放置するとは、とんだ馬鹿者である。
「またはぐれるといけないので」
小さく言い訳しながら、クロードはアリスの手を握った。
繋がれた手から熱を感じ、アリスは体中体温が上がるのを自覚していた。