花婿が差し替えられました
ミツバチはやっぱりミツバチ
晴れて婚約者になったナルシスははじめの頃こそせっせとアリスに会いに伯爵邸に通ったが、それもすぐに飽きた。
全く合わないのだ。趣味も。話も。感性も。
ナルシスにとって女の子というのは愛でる存在であった。
女の子たちは皆ナルシスを潤んだ目で見上げ、可愛らしい声で甘えてくる。
だが、アリスはその見目こそ麗しいが、話す内容は小難しいことばかり。
ナルシスを見て小さく微笑みはするが、その瞳には全く甘さを含んでいない。
それに、なんといっても触れ合いが少ない。
エスコートする時腕にそっと手を沿わせたり、ダンスの時手を軽く重ねたりするくらいで、それ以上の接触を彼女は許そうとしないのだ。
正直、ナルシスに触れられて顔を赤らめない女性など、彼にとっては初めてであった。
結局、しばらくするとナルシスは相変わらずのミツバチ野郎に戻り、サンフォース伯爵家にアリスを訪ねることも外に連れ出すことも減って行った。
ナルシスにすれば、結婚すれば二人の仲も変わるだろうという楽観的予想もあっただろう。
今はもう結婚が決まっている婚約者の機嫌をとるより、独身生活最後の足掻きとばかりに遊び回った方がいい。
そうして二人の姿が共に見られる場は徐々に減っていった。
別々に夜会に参加してバッタリ顔を合わせるなどということもしばしば。
そんな時ナルシスはアリスとは別の女性をエスコートしていて、アリスは家族や親戚、または事業の提携相手と共に参加していたものだ。
ある日など、アリスが見ていることも知らず、ナルシスがどこぞの令嬢と物陰でキスを交わしていることもあった。
全く合わないのだ。趣味も。話も。感性も。
ナルシスにとって女の子というのは愛でる存在であった。
女の子たちは皆ナルシスを潤んだ目で見上げ、可愛らしい声で甘えてくる。
だが、アリスはその見目こそ麗しいが、話す内容は小難しいことばかり。
ナルシスを見て小さく微笑みはするが、その瞳には全く甘さを含んでいない。
それに、なんといっても触れ合いが少ない。
エスコートする時腕にそっと手を沿わせたり、ダンスの時手を軽く重ねたりするくらいで、それ以上の接触を彼女は許そうとしないのだ。
正直、ナルシスに触れられて顔を赤らめない女性など、彼にとっては初めてであった。
結局、しばらくするとナルシスは相変わらずのミツバチ野郎に戻り、サンフォース伯爵家にアリスを訪ねることも外に連れ出すことも減って行った。
ナルシスにすれば、結婚すれば二人の仲も変わるだろうという楽観的予想もあっただろう。
今はもう結婚が決まっている婚約者の機嫌をとるより、独身生活最後の足掻きとばかりに遊び回った方がいい。
そうして二人の姿が共に見られる場は徐々に減っていった。
別々に夜会に参加してバッタリ顔を合わせるなどということもしばしば。
そんな時ナルシスはアリスとは別の女性をエスコートしていて、アリスは家族や親戚、または事業の提携相手と共に参加していたものだ。
ある日など、アリスが見ていることも知らず、ナルシスがどこぞの令嬢と物陰でキスを交わしていることもあった。