その恋、まぜるなキケン

暗雲

あれから、真紘は相変わらず晃に定期的に呼び出されては、抱かれていた。


杉本晃にお気に入りの女ができたという噂は他の組へも広がって、当然秘密裏に捜査を続けている警察にもその情報は入っていた。


綾人は部下に杉本組の事務所や本家を張り込ませ、晃の女を特定するよう指示を出していた。


何か情報を得られそうな人物はマークしておきたかったからだ。


「椎名さん。これが頼まれてた写真です。杉本晃の女」


部下から渡された写真に映っていたのは真紘だった。


「彼女は違う。杉本晃の女じゃないぞ」


まだまだ張り込みの詰めが甘いと小言を言おうとすると、部下はさらに数枚写真を取り出した。


「いやそんなはずはないですよ。ほら、これは高級ホテルから出てくる2人、そんでこっちは車の中。ほんと、羨ましくなるくらいお盛んなんですよね」


綾人は絶句した。


どうしてこんなことになっているのだろう。


自分が彼女を諦めたのは、杉本組に深く関わらせるためでも、ましてや若頭代行の相手をさせるためでもない。


一筋縄ではいかない恋だろうとは思っていたが、それでも彼女が旭を選んだから尊重した。


それなのに、旭を信用した結果がこれだった。


綾人は湧き上がる怒りのまま車を走らせた。
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