その恋、まぜるなキケン



杉本家の本家は築年数も古い木造の家屋だからか、ベッドが少し動くだけで床に振動が伝わり、ギシギシと音がする。


「いッ……」


晃に組み敷かれ服も乱された真紘は、彼に突然歯を立てられ、思わず声が出る。


しかし晃は彼女の反応を全く無視していて、手も口も止まる気配はない。


今度は胸の内側の辺りを強く吸われた。


「……跡付けるのはやめて」


「旭に見られたくないからか?」


彼は真紘の胸元から顔を上げて薄ら笑いを浮かべながら言った。


こうして晃に抱かれている時に彼の名前を出すのはやめてほしかった。


「愛されてんなァ。アイツ、いつも同じところに跡残してくるぞ」


そう言って晃は真紘のうなじの辺りを撫でた。


自分では見えない位置で気が付かなかったが、確かに旭はその辺りに口付けることが多かったかもしれない。


「……どうしてそこまで旭にこだわるの?旭を若頭に推していた将也さんはもういない。そもそも旭はそんなもの全く望んでないのに……」


「……うるせぇよ」


黙れと言うように再び晃が腰を動かし始めた。


真紘は欲を発散して満足そうな晃を睨みつける。


この瞬間がいつだって苦痛だった。


「そんな顔すんなよ。どうせこの後旭にもヤらせんだろ?それとも、掻き出しといてやろうか?」


人差し指と中指を動かして見せてくる彼に反吐が出そうになる。


真紘はベッドの下に脱ぎ散らかされている自分の下着や服を身につけた。
< 107 / 140 >

この作品をシェア

pagetop