その恋、まぜるなキケン

希望

思うままに車を走らせ、旭は東京港に辿り着いた。


こんな真夜中にも関わらず、真っ暗な海の向こうは煌々と光り輝いている。


とりあえず一服しようと煙草を取り出すと中身が空だった。


「あークソ」


こんなひとり言を言ってしまうほど、最近の旭には余裕がなかった。


さっきの真紘とのやりとりも、完全に八つ当たりだった。


〝死に際に悔いが残らないようにしろ〟


将也がよく言っていた言葉だ。


1人きりで無防備な今、もし襲われでもしたらあれが真紘との最後の会話になってしまう。


そんなのはあんまりだ。


——帰ったらちゃんと謝ろう。


旭は星たちに約束するように夜空を見上げた。
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