その恋、まぜるなキケン
旭が晃と共に廊下を歩いていると、向こうから真紘と亮太が歩いて来る。


晃との式というのは癪だったが、真っ白な白無垢に身を包んだ真紘の花嫁姿はとても綺麗で、旭は真紘に向かって『キレイ』と口を動かした。


ちゃんと伝わったのか、真紘は少し恥ずかしそうに笑った。


「大好きな男の目の前で他の男に嫁ぐのはどんな気分だ?」


曲がり角のところで両者はぶつかった。


真紘は楽しそうに嫌味を言ってくる晃を睨み上げる。


「あなたの嫁になんて絶対にならないから」


「フッ……この期に及んでまだそんなことが言えるなんてなぁ、旭」


「……行きましょう」


旭はそのことについては何も言わず、ただ広間に向かうよう晃を促した。


作戦決行のタイミングまであと1時間を切っている。


警察側の進捗が一体どうなっているのかは旭も知らない。


——頼むぞ、刑事さん


綾人に念を送り、旭は気を引き締めて晃の後ろを歩いた。
< 132 / 140 >

この作品をシェア

pagetop