その恋、まぜるなキケン
衝撃
翌日、婚約者である椎名綾人が、仕事終わりに真紘の家に泊まりに来た。
彼が急にやってくるのはかなり珍しい。
2人で夕食を食べながら、真紘は後輩から美男美女夫婦と褒められたことや、結婚式のことについてあれこれ話題を持ちかけた。
「……そういえば、昨日誰かと出かけてた?」
それはあまりに唐突な質問で、まるでいつ切り出そうかずっとタイミングを伺っていたかのようだった。
「あー、うん。友達とちょっと飲みに行ったよ!」
真紘は彼の質問の意図を考えながら慎重に答える。
「……それって男?」
「・・・・」
真紘は一瞬言葉に詰まった。
人間知らなければ幸せなことが意外とある。
必ずしも正直に話すことが正しいとは限らないのだ。
旭との再会は、別にやましいことでもなんでもない。
だが、自分の恋人が異性と会っていたと聞いていい気分になる人はいないだろう。
だから、綾人のこの質問に〝否〟と答えることは、選択肢として間違ってはいないのかもしれない。
けれど真紘は、これから夫になる綾人に対して秘密は作りたくなかったし、やましいことは何もないのだから隠す必要もないとも思い、ありのままを話すことにした。
「あ……うん。そうなんだけど、本当に会って話しただけなの!それよりも聞いて!その人会うの10年ぶりくらいだったんだけど、」
すると綾人は話の途中で、真紘の言葉を遮るように言葉を被せてきた。
「織部旭。1987年東京都生まれ。家族は父親、母親、そして5つ下に妹がいる。ごく普通の家庭は、父親の事業失敗をきっかけに闇へと堕ちることになる。2006年に都立青山北高等学校卒業後、一切の連絡手段を断ち一家失踪。そして織部は杉本組に入門。現在まで若頭、および若頭代行補佐として活動。そして、真紘の高校時代の恋人……だろ?」
「な……んで……?」
真紘は絶句した。
なぜ彼が旭のことを知っているのか。
いや、もはやこれは〝知っている〟なんて生ぬるいレベルではなかった。
彼が急にやってくるのはかなり珍しい。
2人で夕食を食べながら、真紘は後輩から美男美女夫婦と褒められたことや、結婚式のことについてあれこれ話題を持ちかけた。
「……そういえば、昨日誰かと出かけてた?」
それはあまりに唐突な質問で、まるでいつ切り出そうかずっとタイミングを伺っていたかのようだった。
「あー、うん。友達とちょっと飲みに行ったよ!」
真紘は彼の質問の意図を考えながら慎重に答える。
「……それって男?」
「・・・・」
真紘は一瞬言葉に詰まった。
人間知らなければ幸せなことが意外とある。
必ずしも正直に話すことが正しいとは限らないのだ。
旭との再会は、別にやましいことでもなんでもない。
だが、自分の恋人が異性と会っていたと聞いていい気分になる人はいないだろう。
だから、綾人のこの質問に〝否〟と答えることは、選択肢として間違ってはいないのかもしれない。
けれど真紘は、これから夫になる綾人に対して秘密は作りたくなかったし、やましいことは何もないのだから隠す必要もないとも思い、ありのままを話すことにした。
「あ……うん。そうなんだけど、本当に会って話しただけなの!それよりも聞いて!その人会うの10年ぶりくらいだったんだけど、」
すると綾人は話の途中で、真紘の言葉を遮るように言葉を被せてきた。
「織部旭。1987年東京都生まれ。家族は父親、母親、そして5つ下に妹がいる。ごく普通の家庭は、父親の事業失敗をきっかけに闇へと堕ちることになる。2006年に都立青山北高等学校卒業後、一切の連絡手段を断ち一家失踪。そして織部は杉本組に入門。現在まで若頭、および若頭代行補佐として活動。そして、真紘の高校時代の恋人……だろ?」
「な……んで……?」
真紘は絶句した。
なぜ彼が旭のことを知っているのか。
いや、もはやこれは〝知っている〟なんて生ぬるいレベルではなかった。