その恋、まぜるなキケン
真紘は、登録した旭の連絡先を削除することにした。
電話帳で旭の連絡先を出したところで、ちょう歩行者信号が青に変わり〝ピヨピヨ〟と可愛い音が鳴り始める。
真紘はスマホの画面を見ながらそのまま歩き出した。
これで削除ボタンを押せば旭との繋がりは完全に断たれる。
もう歌舞伎町へ行っても彼は真紘に声をかけてはくれないだろう。
意を決して親指を伸ばしたその時。
横目に車が曲がってくるのが見えた。
しかしそれはどう見ても交差点に入ってくる時のスピードではなく、夜勤明けの疲れ切った真紘の脳がようやく危険を察知して反射的に足を動かした時には、少し遅かった。
地面に飛び込むようにして車を避けたつもりがわずかに車体と接触してしまい、真紘は3メートルほどふっ飛ばされた。
地面に叩きつけられた衝撃は大きかった。
近くで色んな人の声が聞こえる。
朦朧とする意識の中、綾人に連絡をしようと奇跡的に自分の近くに落下しているスマホに手を伸ばした。
出血しているのか頭はズキズキして、全身が鉛のように重く痛い。
なんとかスマホを掴んで指紋認証でロックを解除すると、既に誰かの連絡先が開いていた。
さっきまで旭の連絡先を削除しようとしていたことはすっかり忘れていた。
「あや……と……」
うっすらと、綾人のフリガナの〝ア〟が見えた気がした。
画面に表示されているのは綾人の連絡先だと安心した真紘は、発信ボタンを押したところで力尽き、意識を手放した。
電話帳で旭の連絡先を出したところで、ちょう歩行者信号が青に変わり〝ピヨピヨ〟と可愛い音が鳴り始める。
真紘はスマホの画面を見ながらそのまま歩き出した。
これで削除ボタンを押せば旭との繋がりは完全に断たれる。
もう歌舞伎町へ行っても彼は真紘に声をかけてはくれないだろう。
意を決して親指を伸ばしたその時。
横目に車が曲がってくるのが見えた。
しかしそれはどう見ても交差点に入ってくる時のスピードではなく、夜勤明けの疲れ切った真紘の脳がようやく危険を察知して反射的に足を動かした時には、少し遅かった。
地面に飛び込むようにして車を避けたつもりがわずかに車体と接触してしまい、真紘は3メートルほどふっ飛ばされた。
地面に叩きつけられた衝撃は大きかった。
近くで色んな人の声が聞こえる。
朦朧とする意識の中、綾人に連絡をしようと奇跡的に自分の近くに落下しているスマホに手を伸ばした。
出血しているのか頭はズキズキして、全身が鉛のように重く痛い。
なんとかスマホを掴んで指紋認証でロックを解除すると、既に誰かの連絡先が開いていた。
さっきまで旭の連絡先を削除しようとしていたことはすっかり忘れていた。
「あや……と……」
うっすらと、綾人のフリガナの〝ア〟が見えた気がした。
画面に表示されているのは綾人の連絡先だと安心した真紘は、発信ボタンを押したところで力尽き、意識を手放した。