その恋、まぜるなキケン
目隠しをされ車に乗せられた真紘が連れて来られたのは、大きな倉庫が立ち並んだ場所だった。


周りには同じような倉庫やコンテナが積み上げられていて、車を降りるとうっすらと潮の香りがした。


残念ながら、簡単に助けを呼べそうでないことだけは確かだった。


銃を向けられたまま倉庫の中に進むと、そこには亮太が頭から血を流して倒れていた。


「亮太くんッ!」


「まひ…ろっ…さん!」


しかし真紘が駆け寄ることは叶わなかった。


「織部に電話しろ」


さっきまで背中に当たっていた銃が今度は真紘の後頭部につきつけられる。


「テメェらの親父が休戦もちかけてきたんだろーが!こんなことしてタダじゃ済まねェぞ!」


「キャンキャンうるせぇ犬だなァ。テメェみたいな下っ端ヤッたとこで自分とこの親父が動いてくれるとでも思ってんのか?あ゛?」


「グハッッ」


叫んだ亮太は近くにいた男たちに腹の辺りを蹴り上げられた。


「ほら、早くしろ。それとも死にたいか?」


銃口が真紘の頭に押し当てられ、この次は引き金を引かれると悟った。


真紘は冷や汗が止まらず、緊張のせいか唇が乾いてさっきから何度も唾液を飲み込んでいる。


ダメだダメだダメだ!


詳しいことは分からないが、この組と旭たちはやり合っちゃいけないことになっている。


だからここへ旭を呼んでも、彼は手出しができない。


ここへ来たら袋叩きにされてしまう。


じゃあどうする?


今のところ重症の亮太と一般人の真紘だけでは突破口がない。


真紘が撃たれて亮太が助かるのならいいが、それは絶対にありえない。


2人ともただ無駄に命を落とすだけになる。
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