その恋、まぜるなキケン
真紘は手足をそれぞれ結束バンドのようなもので縛られ、口にはガムテープを貼られてパイプ椅子に座らされた。


亮太は真紘から少し離れた地面に転がされている。


見たところ今は出血は止まっているようだったが、頭や脚の辺りには小さな血の溜まりができるほど出血があった。


ピクリともしないからか、亮太は真紘のように拘束すらもされていない。


意識がないのだとしたらかなり危険な状態だ。


一刻も早く彼を病院に連れて行きたい。


その時、扉の外が騒がしくなった。


「やっとお出ましか」


男がボソリと呟く。


電話から一体どれくらい経ったかはわからない。


数分にも思えたし、数時間経ったような気もする。


散らばっていた男たちが続々と集まってきて、扉が開くのを待ち構える。


ギィィと開いた扉の向こうには旭がいた。


中に入って来た彼は真紘を見た後、倒れている亮太の方をチラりと見て言った。


「……亮太、まだやれんな?」


しかし亮太は全く動かず、もちろん返事もない。


「可哀想に。あの出血じゃあ無理に決まってんだろ。杉本組は部下にだいぶ無茶させんなァ?」


男たちはゲラゲラ笑う。


敵ながら、真紘もその言葉には同感だった。


出血が続いている彼をまだ動かそうとするなんて無茶すぎる……。
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