その恋、まぜるなキケン
*
とある日の朝、旭は亮太と交代するためにセーフハウスへ向かった。
「上がるぞー」
玄関に入る時、一応中に聞こえるように声をかけた。
自分の家だし、本来はただいまの方が正しいかもしれないが、それもそれで違和感がある。
「アニキ、おはよーございます!」
てっきり来るのは真紘だと思っていたのに、玄関には朝が弱いはずの亮太が、スウェットパンツの紐を結びながらやって来た。
寝起きのはずなのに、いつもと違ってちゃんと目が覚めているし、なんだかシャキッとしている。
旭はその違和感に眉を顰めた。
「……珍しく早いな。真紘は?」
「たまたまですよ。真紘さんも起きてますよ」
噂をすれば、真紘も寝室から出て来た。
「おはよー旭!」
逆にこっちは珍しくまだ眠そうで、目をこすっていた。
どう見てもオーバーサイズな男物のフード付きパーカーがスカートのようになっている。
下は何も履いていないのか、白くて細い生脚が伸びていた。
とりあえずそこらへんにあった服を着ました感がヒシヒシと伝わって来た。
「……はよ」
リビングに向かう時にチラッと見えた寝室は、床に何枚か服が散らばっていて、シーツや毛布の乱れ方はどう見ても今までそこに2人が寝ていたことを示していた。
つまり、そういうことだ。
この部屋、この家で、昨晩、あるいはこれまで何度も、2人は〝そういうこと〟をしていたのだろう。
自分の家だと思って使ってもらっていいと一番最初に伝えたのは旭自身だ。
それは真紘だけでなく、亮太に対してもだ。
だから別に2人がここで何をしようと構わないはずなのに、ここで2人が交わっていたのかと思うと、旭の心は途端にざわめき始めた。
「旭も朝ごはんまだでしょ?」
キッチンで朝食の準備を始めた真紘に、旭は無言で頷いた。
亮太は亮太で、水を入れたポットを火にかけて棚から皿やカップを取り出している。
2人は普段からこの役割分担なのか、阿吽の呼吸だった。
なんというか、もうここでの2人の生活が完成されているように感じる。
まるで同棲しているカップルだ——。
とある日の朝、旭は亮太と交代するためにセーフハウスへ向かった。
「上がるぞー」
玄関に入る時、一応中に聞こえるように声をかけた。
自分の家だし、本来はただいまの方が正しいかもしれないが、それもそれで違和感がある。
「アニキ、おはよーございます!」
てっきり来るのは真紘だと思っていたのに、玄関には朝が弱いはずの亮太が、スウェットパンツの紐を結びながらやって来た。
寝起きのはずなのに、いつもと違ってちゃんと目が覚めているし、なんだかシャキッとしている。
旭はその違和感に眉を顰めた。
「……珍しく早いな。真紘は?」
「たまたまですよ。真紘さんも起きてますよ」
噂をすれば、真紘も寝室から出て来た。
「おはよー旭!」
逆にこっちは珍しくまだ眠そうで、目をこすっていた。
どう見てもオーバーサイズな男物のフード付きパーカーがスカートのようになっている。
下は何も履いていないのか、白くて細い生脚が伸びていた。
とりあえずそこらへんにあった服を着ました感がヒシヒシと伝わって来た。
「……はよ」
リビングに向かう時にチラッと見えた寝室は、床に何枚か服が散らばっていて、シーツや毛布の乱れ方はどう見ても今までそこに2人が寝ていたことを示していた。
つまり、そういうことだ。
この部屋、この家で、昨晩、あるいはこれまで何度も、2人は〝そういうこと〟をしていたのだろう。
自分の家だと思って使ってもらっていいと一番最初に伝えたのは旭自身だ。
それは真紘だけでなく、亮太に対してもだ。
だから別に2人がここで何をしようと構わないはずなのに、ここで2人が交わっていたのかと思うと、旭の心は途端にざわめき始めた。
「旭も朝ごはんまだでしょ?」
キッチンで朝食の準備を始めた真紘に、旭は無言で頷いた。
亮太は亮太で、水を入れたポットを火にかけて棚から皿やカップを取り出している。
2人は普段からこの役割分担なのか、阿吽の呼吸だった。
なんというか、もうここでの2人の生活が完成されているように感じる。
まるで同棲しているカップルだ——。