その恋、まぜるなキケン



「旭、入っていい?」


「うん」


今日の旭の様子が気になって、寝る前に真紘は彼の部屋に顔を出した。


これまでも真紘の安全を第一に考えてくれていたが、今日の彼の様子はさすがに普通ではなかった。


「どした?」


「それはこっちのセリフ!旭こそ何かあったんじゃない……?」


真紘はダブルベッドの端に腰掛けながら言った。


「俺の心配してくれんの?」


旭は相変わらず茶化して肝心なことは何も言おうとしない。


1人で全部背負いこもうとしている。


「ちょっと!私は真面目に言って……!」


真紘の隣に座りそのままベッドに寝そべった旭は、彼女のことも引っ張って2人は向かい合うように横たわった。


距離はわずか15センチほど。互いの瞳に自分が映っているのが見える。


「なぁ、真紘」


彼女の髪をひと束(すく)いながら名前を呼ぶ。


「なに?」


「……我慢すんのって思ってた以上にしんどいわ」


《《何を》》かは聞かなくても分かってしまった。


あまりに正直で素直な言葉に、真紘はハハッと笑ってしまった。


「旭が勝手に我慢してるだけなんだけどね」


「だよな。俺もそう思う」


10年近く拗らせているのだ。


もはや開き直るしかないと思った。


もう、いいだろうか——?


ずっと恋しかった彼女が今目の前にいるのに、自分は何をしているんだろうと思ってしまう。


自分の意志の弱さには呆れてしまうが。


真紘の腰にはちゃっかり手を回されていて、脚も旭の脚でホールドされている。


着々と外堀を埋められていた。


「……シちゃう?」


腰に添えられた手を触りながら真紘が笑った。


「……何その誘い方。エロ」


理性の糸は簡単にプツンと切れて、旭は真紘に覆い被さるような体勢で首筋に唇を這わせながら服を脱がせていく。


甘い痛みを感じるたびに真紘から声が漏れた。


旭自身も、着ていたトレーナーを床に脱ぎ捨ててズボンの紐を緩める。


鍛えられた旭の体に手を伸ばしながら、真紘はこの光景が10年前、自分たちが初めてシた時と重なった。


あの頃のような初々しさはないかもしれないが、離れていた時間を埋めるように2人は愛し合った——。
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