【完結】私の恋人の裏の顔は、最低な詐欺師でした。


「どうする? スマホ、返してほしいんだろ?」

 顔を近づけてくる拓斗に、私は「……だったら、直接警察に行くまでだわ」と拓斗に言った。

「往生際が悪い女だな、お前は」

「はっ……?」

 往生際が悪いって……なに?

「俺のこと黙っててくれば、痛い目には遭わせないって言ってるんだぞ? 素直に受け入れておけばいいのにさ」

 この人は……本当に、拓斗なの? 私の知っている拓斗じゃ……ない。
 拓斗のこんなワルそうな顔……初めて見た。

「……これは犯罪よ。私には、見逃すなんて出来ないわ」

 なにがなんでも、警察にこのことを知らせないと……。

「だから、お前にお願いしてるんだろ? な、侑里?言ったろ。俺はお前のことが大切なんだ。愛してるって」
 
 怪しく微笑みかける拓斗に、私は恐怖を感じてしまった。
 私の知らない、拓斗の裏の顔を知ってしまって、困惑と同時に恐怖が襲いかかる。

「やめて……っ、触らないでっ」

 この人は拓斗じゃない。私の知っている拓斗は、もういない。

「俺は別れたなんて思ってない。必ずまた、帰ってくるって分かってたから、待ってたんだよ」

「こ、来ないで!」

 私……どうなっちゃうんだろう……?
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