【完結】私の恋人の裏の顔は、最低な詐欺師でした。


「なあ、侑里?俺たち、もう一度やり直そう」

「な……に、言ってんの……?」

 今更やり直そう……ですって? 

「冗談じゃないわ。……今更、意味の分からないこと言わないで」

 今更やり直すなんて、あり得ない……。こんなヤツとやり直すなんて、絶対にない。

「俺はお前を愛してるんだよ。お前がいないと、ダメなんだよ。……な?侑里」

 私の頬に手を伸ばし、笑っていない瞳の奥で、私のことを睨みつけている。

「ふざけないで! アンタなんかとやり直すつもりはない!」

 その頬に触れた手を振り払うが、拓斗は私の襟元をぐっと引っ張り、顔を近づけてくる。

「た……くと……っ、やめて。離してっ」

「なあ、侑里? 痛い目に、遭いたくないだろ?」

「私のこと……脅してるの?」

 そう聞くと拓斗は、「脅してる? そんな訳ないだろ? こればお願い゙だよ」と言って私を見る。

「お願い……?」

 これがお願い……? そんな訳ない。これは脅迫だ……。

「お願い……。バカなことはやめて。今すぐ手を引いて、こんなのもうやめて」

「侑里、これはお前の為だよ」

 私の……為? なに、言ってるの……?

「だって侑里、言ってただろ?」
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