【完結】私の恋人の裏の顔は、最低な詐欺師でした。
    

「え……?」

「結婚したら、世界一周旅行をするのが夢なんだって」

 世界一周……旅行? それって……。

「まさか……そのために、そうしたって言いたいの?」

 だとしたらそんなの、間違ってる……。

「侑里の夢、叶えてやろうと思っただけだよ、俺は」

「そんなの……間違ってる」

「……なに?」

 私は拓斗に向かって「そんなのは間違ってる!私の夢を叶えるため? そんなことのために詐欺なんてしてたの?……そんなのは、愛なんかじゃない。ただの自己満足よ」と告げる。

「俺は侑里のために、そうしたんだ。それの何が悪いって言うんだ?」

「……アンタ、人間じゃない」

「はっ?」

「アンタは最低なことをした!私の為にとか言ってるけど、結局は自分の為でしょ? 自分がそれで満足して、ただ優越感を得ているだけでしょ?」

 私はこんなヤツの為に、無駄な時間を過ごしてたんだ……。自分が惨めになるし、情けなくなる。

「そんなの、私の為なんかじゃない。 私の為にって思うなら、今すぐに自首して罪を償ってほしい」

「……侑里、君は何を言ってるんだ?」

「はっ……?」

「俺は全部、君の為にしたんだぞ?君に喜んで欲しくてこうした」
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