【完結】私の恋人の裏の顔は、最低な詐欺師でした。


 そんなことを言う拓斗に、私は引いた。

「……そんな愛、私はいらない。私はこんなの、望んでない」

「侑里……君の為にしたことだ。なのになぜ、理解してくれないんだ?」

「理解……?」

 こんなの、理解出来る訳がない。こんなのに理解なんて、示せる訳がない。

「君の為にすべてを尽くしてるのに、なぜ理解してくれないんだ?」

「意味の分からないこと言わないで!……アンタと私は、もう無関係なの!」

 一刻も早く、ここから出ないと……!

「俺たちは、恋人だろ? 愛し合ってる?違うか?」

 近づいてくる拓斗に、私は後退りしながら「もう恋人なんかじゃないし、愛し合ってもないわ!」と告げる。  

「俺はこんなにも、君を愛してるのに?」

「そんな歪んだ愛なんて、私はいらない!」

 こんなのは愛じゃない。これは愛なんかじゃない!

「侑里、俺の気持ちを分かってくれるだろ?」

 そのまま後退りするが、窓に当たってしまい後退り出来なくなる。

「っ……」

「侑里、俺の元に戻って来いよ」

 拓斗に髪を撫でられ、その瞳の奥の怪しい微笑みに、私は恐怖で動けなくなる。
 
「侑里、な?戻って来てくれるだろ?」

 ダメッ……怖い……。
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