【完結】私の恋人の裏の顔は、最低な詐欺師でした。


「はっ……? なに、言ってんの……?」

 こんなこと言うなんて……おかしい。

「騙される方が悪いんだよ、な?侑里もそう思うだろう?」
 
「……そんなこと、私は一ミリも思わない。騙す方が悪いに決まってる」

 私は絶対に、拓斗のことを許さない。こんなことして、許されると思うなんてどうかしてる。

「へえ……。侑里、君は本当に聞き分けのない女だね」

「アンタ……自分が何してるか分かってない。罪は罪だよ。悪くない訳ない!」

 こんな男を好きになった私が、本当にバカだった。なんでこんな男を、好きになったのか分からない。
 本当に最低だ……。人間じゃない。

「そうか。なら、君を殺すしかないな」

「……っ!!」

 この目は……本気だ。 本気で、私を殺そうとしてる。

「……殺したきゃ、殺せばいいじゃない」

「はっ?」

「殺したきゃ殺しなさいよ! アンタなんか、刑務所でもどこでも入ればいい。アンタみたいな最低な男、私の人生にはいらない。死んだほうがマシだわ!」

 その言葉を告げる私に、拓斗は「そうか……。じゃあ望みどおり、殺してやるよ」と微笑み、私の体に包丁を突きつけた。

「さようなら、侑里」

「っ……」
 
 さようなら、私ーーー。
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