【完結】私の恋人の裏の顔は、最低な詐欺師でした。


「そうじゃないなら、私との予定ばっかりドタキャンしないでくれる? 記念日のデートだってそうだったじゃん?」

「だから、申し訳ないって思ってるって」

 でもこの時はまだ、私は拓斗の秘密に気付いてなかったんだ。
 
「もう知らない。勝手にしてくれる」

「おい、侑里(ゆり)!」

 私は寝室を飛び出し、そのままカバンなどを持ち部屋を出る。

 本当に信じられない。私のことなんて、どうでもいいんだ。 
 私のことなんて二の次……。

「買い物でもしようかな」 

 散歩がてら、私は気晴らしに駅前のショッピングモールで買い物をすることにした。
 二時間くらい買い物をして自宅に戻ると、拓斗がキッチンで何かを作っていた。

「おかえり、侑里」

「……何してるの?」
 
 拓斗はパスタを茹でているのか、「パスタ作ってる。食べるだろ?」と聞いてくる。

「いらない。食べてきたし」

「そっか」

 そっか、って……。言うこと他にないの?

「買い物してきたのか?」

「そうよ。気晴らしにね」

「なあ、侑里。悪かったって言ってるだろ?」

 そんなこと言われても、許せる訳がない。私のことより大切な用事とは、一体なんなのだろうか。
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