【完結】私の恋人の裏の顔は、最低な詐欺師でした。
「……謝って許されるとか、思ってる?」
「思ってはない。……でも、侑里のことは本当に大切に思ってる。本当に、大切だと思ってる」
どの口がそんなことを言うのか、と思う。許してほしいなんて、何を言ってるのか。
「そんな言葉で許してもらえるとか、思わないで」
「侑里……ごめんって、本当に」
謝ってばかりなのが、余計に腹が立つ。
「……もう、拓斗とは話したくない」
「侑里……」
「しばらく、話したくない。ごめんね」
もういっそのこと、別れようかなとも思ってしまう。 こんなに約束をドタキャンしたりする人とは、もう付き合ってても楽しくない気がする。
「拓斗、私たち別れない?」
「え……?」
「私たち、別れたほうがいいと思う」
拓斗はガスコンロの火を止めると、私のそばへも歩いてくる。
そして「別れるって……侑里、それ本気で言ってる?」と聞いてくる。
「……本気よ、私は。私はもう、拓斗と一緒にいる意味が分からなくなってるの」
「一緒にいる、意味……?」
私は拓斗の浮気を、正直疑ってる。約束をドタキャンするのも、浮気してるからではないかと思ってる。
私にはすでに愛情がなくて、浮気してるのかもって疑ってる。