【完結】私の恋人の裏の顔は、最低な詐欺師でした。


「ねえ、隠してることがあるならさ、言ってくれないかな」

「え、隠してること……?」

 その表情からすると、やっぱり拓斗は浮気してることを隠してる気がする。 最近、やたら誰かと電話していることが多いし、誰かとメールのやり取りも頻繁にしている。
 ということはやはり、浮気してるってことだ。 それ以外に考えられない。
 私に隠すことと言ったら、それしかないと思う。

「私に、何か隠してるよね? 私に隠れて浮気してるんでしょ?」

「それは違う! 浮気なんて、してない」

 そんなことを信じられなる訳がない。そんなのは、言い訳にしかならない。

「浮気してないなら、なんでそんなに約束ドタキャンするの?」

「それは……」

 口ごもって黙る拓斗に、私は「ほら、言えないことなんだやっぱり。浮気じゃん」と拓斗を見つめる。

「本当に違うんだ!……本当に、それだけは違う」

 拓斗がなぜそこまで浮気してるということを隠すのかは分からないし、違うと言い張るのかも分からないけど、してるならしてるってハッキリ言ってもらった方がスッキリする。
 浮気してること自体が事実なら、それはそれで「やっぱりね」ってすんなり受け入れられるかもって思うのに。
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