新婚なのに旦那様と会えません〜公爵夫人は宮廷魔術師〜
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「リア充爆発しろリア充爆発しろリア充呪われろリア充呪われろ」
ヒューイが血走った目で、瞬きも無しに念を送るのは、丁度目の前の席にいる若いカップル。平服に身を包んではいるが、所作などからどうみても貴族であることが伺える。恋人同士であってもお忍びのデートというのは、きっといつも以上のドキドキを共有し合えているはずだ。それを思うと腹立たしさも倍増してくる。
そのカップルは四人がけの席に向かい合ってではなく、わざわざ隣同士にくっ付いて座り、先程からスイーツを食べさせあったりひたすらイチャつきを見せ付けていた。
勿論彼らは仲睦まじい様を見せびらかしている訳ではない。二人だけの世界に浸っており、周りの目など気にしてなどいない。
まさか呪いの邪念が送られているなどとは露知らず、カップルは幸せ満開のオーラを振りまいていた。
二人に邪念を送り続けるヒューイを始め、テオドール、レオネルは、ルクセイア公爵夫妻から少し離れた席に、男ばかりで固められていた。
四人がけの席にレオネル、テオドール、ヒューイの男三人である。
これなら最初から、男三人のみで入店したのとあまり変わらないのでは?と思わなくもない。
ヒューイはとっくにケーキが運ばれているにも関わらず、気付いていないようなのでテオドールは、手を付けられていない皿に目を輝かせる。
「なぁ、これ食べないなら貰っていい?」
「食べますよ」
テオドールに自身のケーキが狙われ、ようやくヒューイはフォークを手に取った。
「気分悪くするなら見なきゃいいじゃん?そういえばリア充ならあそこにもいるけど、あれも駄目なのか?」
テオドールがルクセイア公爵夫妻に視線を送ると、そこでも丁度シルヴィアがアレクセルの口にフォークを運んでいるところだった。
光に照らされたワインレッドの髪と、輝く銀の髪を持つ美しき夫婦。さながら一枚の絵画のようであり、その空間だけキラキラと光り輝く別世界が広がっていた。
「何言ってるんですか、近衛騎士団長のルクセイア公爵様ですよ。イケメンで有能で家柄も良くて、あの方は元々雲の上の存在です。そんな方に僻む程無駄なことなんて、そうそうこの世に存在しませんよ。あの方からすれば、僕は蟻よりもちっぽけな存在です」
「そっか、じゃあ苺だけ貰っていい?」
「駄目って言ってるでしょう」
何やら語っていたヒューイだが、テオドールはロールケーキの上に乗る苺にしか興味が無かった。そんな中、神妙な面持ちで聞いていたレオネルが口を開く。
「成る程な、私も公爵夫妻には憎悪を感じないことを不思議に思っていたら、ヒューイの言葉で腑に落ちた。では私も目の前のカップルを呪っておこう」
レオネルは一見真面目な好青年だが、幼少の頃から実家の子爵家が没落しかかっていたのを、必死に立て直すことに専念していた。
その為華やかな場で令嬢と親睦を深めることもなく、婚約者も決まっていない。
そんなレオネル、そしてヒューイは魔術を悪用しようと思っているわけではない。むしろ宮廷魔術師が魔法を悪用するのは違反である。
魔力は一切使わず、願わくば帰宅する道中馬車が溝に嵌って困ればいいのに。または滑った店員に水をぶっかけられたらいいのに。はたまた角に思い切り小指ぶつければいいのに、男限定で。そんな細やかな祈りだった。
ヒューイが血走った目で、瞬きも無しに念を送るのは、丁度目の前の席にいる若いカップル。平服に身を包んではいるが、所作などからどうみても貴族であることが伺える。恋人同士であってもお忍びのデートというのは、きっといつも以上のドキドキを共有し合えているはずだ。それを思うと腹立たしさも倍増してくる。
そのカップルは四人がけの席に向かい合ってではなく、わざわざ隣同士にくっ付いて座り、先程からスイーツを食べさせあったりひたすらイチャつきを見せ付けていた。
勿論彼らは仲睦まじい様を見せびらかしている訳ではない。二人だけの世界に浸っており、周りの目など気にしてなどいない。
まさか呪いの邪念が送られているなどとは露知らず、カップルは幸せ満開のオーラを振りまいていた。
二人に邪念を送り続けるヒューイを始め、テオドール、レオネルは、ルクセイア公爵夫妻から少し離れた席に、男ばかりで固められていた。
四人がけの席にレオネル、テオドール、ヒューイの男三人である。
これなら最初から、男三人のみで入店したのとあまり変わらないのでは?と思わなくもない。
ヒューイはとっくにケーキが運ばれているにも関わらず、気付いていないようなのでテオドールは、手を付けられていない皿に目を輝かせる。
「なぁ、これ食べないなら貰っていい?」
「食べますよ」
テオドールに自身のケーキが狙われ、ようやくヒューイはフォークを手に取った。
「気分悪くするなら見なきゃいいじゃん?そういえばリア充ならあそこにもいるけど、あれも駄目なのか?」
テオドールがルクセイア公爵夫妻に視線を送ると、そこでも丁度シルヴィアがアレクセルの口にフォークを運んでいるところだった。
光に照らされたワインレッドの髪と、輝く銀の髪を持つ美しき夫婦。さながら一枚の絵画のようであり、その空間だけキラキラと光り輝く別世界が広がっていた。
「何言ってるんですか、近衛騎士団長のルクセイア公爵様ですよ。イケメンで有能で家柄も良くて、あの方は元々雲の上の存在です。そんな方に僻む程無駄なことなんて、そうそうこの世に存在しませんよ。あの方からすれば、僕は蟻よりもちっぽけな存在です」
「そっか、じゃあ苺だけ貰っていい?」
「駄目って言ってるでしょう」
何やら語っていたヒューイだが、テオドールはロールケーキの上に乗る苺にしか興味が無かった。そんな中、神妙な面持ちで聞いていたレオネルが口を開く。
「成る程な、私も公爵夫妻には憎悪を感じないことを不思議に思っていたら、ヒューイの言葉で腑に落ちた。では私も目の前のカップルを呪っておこう」
レオネルは一見真面目な好青年だが、幼少の頃から実家の子爵家が没落しかかっていたのを、必死に立て直すことに専念していた。
その為華やかな場で令嬢と親睦を深めることもなく、婚約者も決まっていない。
そんなレオネル、そしてヒューイは魔術を悪用しようと思っているわけではない。むしろ宮廷魔術師が魔法を悪用するのは違反である。
魔力は一切使わず、願わくば帰宅する道中馬車が溝に嵌って困ればいいのに。または滑った店員に水をぶっかけられたらいいのに。はたまた角に思い切り小指ぶつければいいのに、男限定で。そんな細やかな祈りだった。