ー野に咲く花の冒険譚ー
プロローグ
ある日,突如として1つの奇怪な伝染病が流行った。
そして,とある医者は匙を投げ,世界へ発信する。
『この病は,何百年経っても治らない! なぜなら,既にこれは医者の領分ではないからだ!』
世界規模の混乱に陥っていた世の人は,総じて彼を非難した。
人の希望を打ち砕くな,働けと彼は罵られた。
けれど,それも早600年前のこと。
ローニャ·プッチーニ·ドルトル医師。
あなたはとても正しい。
どこにも行けぬ怒りの捌け口に暗殺されてしまったけれど,誰よりも正しく病を恐れていた。
それは,生まれてから17年,今なお身体を蝕んでいく僕の腹のそれが証明している。
身体の一部に根を張り,養分を吸い取り。
人の死と引き換えに咲く1輪の花。
フラワー病と呼ばれるこれは,きっとそんなものではない。
呪いに近しい,何か。
鮮やかに咲き誇るこの花は,その全ての象徴だ。
けれど,死と引き換えに咲くはずのこれが,何故生きている僕に咲いているのか,それはまだ誰にも分かっていない。
そして,とある医者は匙を投げ,世界へ発信する。
『この病は,何百年経っても治らない! なぜなら,既にこれは医者の領分ではないからだ!』
世界規模の混乱に陥っていた世の人は,総じて彼を非難した。
人の希望を打ち砕くな,働けと彼は罵られた。
けれど,それも早600年前のこと。
ローニャ·プッチーニ·ドルトル医師。
あなたはとても正しい。
どこにも行けぬ怒りの捌け口に暗殺されてしまったけれど,誰よりも正しく病を恐れていた。
それは,生まれてから17年,今なお身体を蝕んでいく僕の腹のそれが証明している。
身体の一部に根を張り,養分を吸い取り。
人の死と引き換えに咲く1輪の花。
フラワー病と呼ばれるこれは,きっとそんなものではない。
呪いに近しい,何か。
鮮やかに咲き誇るこの花は,その全ての象徴だ。
けれど,死と引き換えに咲くはずのこれが,何故生きている僕に咲いているのか,それはまだ誰にも分かっていない。
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