ー野に咲く花の冒険譚ー
7章 呪花
「はぁ,はぁ……」
「やっぱジョンにはこの距離でもキツかったか」
同じ女でも,ココならなんなく着いてこられたのだろう。
両ひざに手を置く僕は,乱れた息のままピンピンしていたずらな顔を向けてくるタルトを見上げた。
「からかうな,タルト。これでも前進した方だ」
「まあ,そうだな」
タルトは差し出した片手を取って,ぐいと僕の姿勢を正す。
「行こう,ジョン」
僕は困っているのに,どこか高揚する気分に任せて表情を作った。
小さいと聞いていた村は,本当に小さくて。
すぐに通り抜けられてしまうほど。
村の向こう側もうっすらと直ぐに見えてくる。