ー野に咲く花の冒険譚ー
1章 集結
強行に走った誘拐犯に連れられ,着いた先は太陽の真下。
お陰さまで僕は編成部隊の人間と顔を合わせることもままならない。
さっと顔をそらせば,誤解しただれかかいけ好かないと言った声を出す。
ざっと数えて30人と少し。
間違いでないことが僕を拐った騎士団長とやらの言葉で分かった。
僕の身の上をだらだらと話し出した男によって,僕は同情的な目を引く。
一通り終わると,うち3人が代表するように前へ出た。
「ココラティエ=テレジア·カフェラッテ。唯一の弓使いよ。17歳,同い年ね」
全員名前で構わないと言われながら,握手を求められる。
今まで1度もなかった経験に理解が間に合わず動きを止めれば,不思議そうな顔をされた。
後ろの高めで結ばれたみつあみがふよふよと揺れている。
「よろしく,ジョンだ」
僕が握手をしながら顔をそらせば,そこにいた男も適当な笑みを浮かべた。
「最年長で君のジョンの1個上,アイザ·デ·アスナロ。剣使いだよ」
またぐるりと顔を回す。
僕と繋がれたままのココラティエが,戸惑うような声をあげた。
と言うことはあれが……
「隊長はお前か?」
「はは,そうだ。見えないかもしれないが,タルト·キリア。部隊長で大剣使いだ」
背中の得物を掲げるように見せてくれる。
それには興味があったので,実物を目にしている現状を僕は楽しんだ。