ー野に咲く花の冒険譚ー
だらだら話し込み,また日を置いても仕方ない。
僕達はそうそうに旅路へと放り出される。
ココラティエは口数が多く,隊員の中でも最も僕に話しかけた。
「ジョン。あなたってすごく格好いいのね。あなたも弓,触ってみる? 途中の夜ご飯のつもりなら問題ないわ」
「いや,いい。突然下手なやつに狙われたら可哀想だし,隊員に当てるわけにもいかない」
「そう。じゃあジョンの好きなものを教えて?」
「とくにない」
考えてみても,浮かばない。
それを正直に口にすれば,隣を歩く隊員がチラリと僕の顔をみる。
「ジョン,って。冷たいわ。どうしてそんな言い方をするの?」
「は?」
冷たい? 今の,どこが?
「もう少し考える風にしてあげなきゃ,ジョン。ここに来てココラティエを怒らすのは得策じゃない」
先輩風を吹かせながら僕の肩を抱いたのは,アイザだった。