ー野に咲く花の冒険譚ー



「……ジョンはまだ,心のどこかで1人で生きている。それは仕方ないのかもしれないけど,せめて俺一人だけでも常に隣に置いて欲しい」

ー考えるまでもなく,そこにいる存在であれるように。



「どうしてそこまで」



僕に構うんだ。

それは簡単なことじゃないはずだ。



「ジョン。俺はお前が好きだ。優しくて不器用で繊細なお前が。ジョンはきっとこの任務が終われば迷いなく別れを告げるんだろう。俺達を過去にして,宝物みたいに扱うんだろう」



それのなにがいけない。

どうせ別れは付き物だろう。

またいつか逢えたなら,それで充分だろう。



「俺はその先でも,お前のとなりにいたい。ジョン……俺の,結婚前提の恋人になってくれ。俺はお前を,1人にはしないと誓うから」



一瞬,特別な白が脳裏に浮かぶ。

僕は訳も分からず身震いをした。

僕が? タルトの?

僕は信じられない思いでタルトを見る。

タルトは言葉を撤回しようとはしない。

それどころかタルト特有の,あの真っ直ぐな瞳を向けてくる。

いつからーー?

1つ振り返る度,僕の心音は大きくなっていった。






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