ー野に咲く花の冒険譚ー

8章 選択

どうして僕はタルトを避けているんだろう。

薄れている意識の中で,僕はタルトとココのことを考えた。

どちらも感情が流れ込んでくるような,不思議な感覚であったはずなのに,どうしてタルトのものだけ受け入れられないんだろう。

最初に生まれた拒絶感は,一体……



「ジョセフィーネ」



その呼び掛けと人影とに,僕はだらんとした頭を持ち上げた。

隙だらけで普段の僕ならあり得ない。

けれどそれ以上のスピードがでなかったのだから,それはどうしよもない。



「そんなに酔っちゃった?」

「呑んでもないのに,酔ってるわけがないだろ」



アイザは僕と顔を合わせるように隣に座る。



「いーや? ジョンは僕が渡した酒,割りといってたけど」
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