ー野に咲く花の冒険譚ー
「それで。あの村はなんだったの? ジョセフィーネ」
ふらりと真横に並ぶアイザに,僕は一瞥を向ける。
「君が戻るのと同時に何やら騒がしくなったんだ。僕が気付かないわけないだろう?」
リリィは得意気に揺れた。
アイザは多少知っているとはいえ,こうも油断した行動を取られると困るのだけど。
ぼそぼそと顛末と背景を語ってやる。
「6年前,あのド田舎村は,祈りや愛を中心に保たれた村だった。そこに花つきだと気付かずに帰省をとやって来たのが,当時近隣で商人をしていた村人の息子」
そこまで話せば,今なお花問題で遠征に出されているアイザがうわーと声をあげた。
そう,あの村に花の知識なんてものはなく。
花を呪いと位置付けて,ただ異常だけを感じ取った村人は離れるどころか村をあげて近づいた。
結果感染者を辿って視察団がやって来た頃にはもう遅く,村の四分の一が老若男女問わず連れていかれてしまったと言うわけだ。
「それは……稀に見る悲劇だね」
「そうだな」
感染のリスクがいくら高くとも,王都や都市ならばこうはいかない。
「それにしても流石ジョセフィーネ。君の花はそんなことも出来るんだ。花が君を選んだのか,君が花を選んだのか。考えてしまう程運命的じゃない?」
ふらりと真横に並ぶアイザに,僕は一瞥を向ける。
「君が戻るのと同時に何やら騒がしくなったんだ。僕が気付かないわけないだろう?」
リリィは得意気に揺れた。
アイザは多少知っているとはいえ,こうも油断した行動を取られると困るのだけど。
ぼそぼそと顛末と背景を語ってやる。
「6年前,あのド田舎村は,祈りや愛を中心に保たれた村だった。そこに花つきだと気付かずに帰省をとやって来たのが,当時近隣で商人をしていた村人の息子」
そこまで話せば,今なお花問題で遠征に出されているアイザがうわーと声をあげた。
そう,あの村に花の知識なんてものはなく。
花を呪いと位置付けて,ただ異常だけを感じ取った村人は離れるどころか村をあげて近づいた。
結果感染者を辿って視察団がやって来た頃にはもう遅く,村の四分の一が老若男女問わず連れていかれてしまったと言うわけだ。
「それは……稀に見る悲劇だね」
「そうだな」
感染のリスクがいくら高くとも,王都や都市ならばこうはいかない。
「それにしても流石ジョセフィーネ。君の花はそんなことも出来るんだ。花が君を選んだのか,君が花を選んだのか。考えてしまう程運命的じゃない?」