ー野に咲く花の冒険譚ー
「ふざけるな。僕らは互いに好き好んで出逢った訳じゃない」
ふとアイザの視線がリリィに留まる。
「そんなこと言っちゃ可愛そうだろジョセフィーネ。ね,リリィ?」
「……うん」
アイザの指先がリリィを掠め,僕はぞわりとした感覚に襲われた。
あろうことか頷くリリィにも愕然とする。
「……僕の,花を……口説こうとしないでくれるかアイザ。アモーレ,君も変に話に乗るな。僕は過程の話をしただけで,今は全て水に流しているだろう?」
アイザは軽快な笑みを浮かべた。
「喋る花と人なんて。案外いいコンビじゃないジョセフィーネ。……リリィ,君もその調子でいて,最後の最後で裏切ったりなんて,しないでくれよ」
「ん……どういうこと?」
「応えなくていい,隠れてろリリィ。はあ……アイザ,リリィはいたいけなんだから,余計なことを教えるな」
アイザは薄く,口角を持ち上げた。
「そう言えば,もうつくんだろう? 僕ってば概要何も確認してないんだよね」