ー野に咲く花の冒険譚ー
何も知らず戸惑う隊員に,リリィを見開いて見つめる僕。
アイザが僕の視線を追って,理解するようにくうを見る。
『可哀想になぁ。王に花を植えられた挙げ句殺されそうになり,うつるハズもないおじいさまは自分のせいで死んだことにされ。今なおノコノコとこんなところまで』
は~あと嘲るような声色に,僕は拳を握った。
薄く開いた口からは,空気が入りも出もしない。
ーうつるハズもない。
そうだ,何故僕は王の言葉を鵜呑みにしてしまった。
うつるうつると危惧していた仲間が,あの王の言葉通りにずっと平気な顔をしていたからか?
リリィは目覚め,最初に癇癪を起こしたとき,確かに言ったのに。
『わたくしちゃまは"コナなんて出ない"よ! そんな変なことするの,最初の子供からだもん!』
最近変わったも何も,最初からリリィにそんな能力は無かったんだ。
リリィを葉にこつこつと合図を送る。