ー野に咲く花の冒険譚ー
真後ろからの声に振り向けば,タルトとアイザが必死の顔で何かを見ながら横に飛んでいた。

次の瞬間タルトは目を見開き,反対にアイザが僕と男を見る。



「あれか,ジョセフィーネ。攻撃早すぎんだろ。早速1人やられたんだが」


大きなジャンプで僕を庇うようにアイザが立つ。



「邪魔だ,どけ」

「やだね」



2人はあれを避けたのか。

僕には見えなかった。

太ももを刺された隊員が声をあげるまで,攻撃もその予備動作も気付けなかった。



「どうして兄さんのまつえい? が,その子と一緒にいるの?」



響いた高く可愛らしい声に,落ち着いている人間だけが意識を奪われる。

隊員は花が喋った事も,僕の見た目が尋常じゃないこともそれどころではなくしている。



「いーい質問だなぁ。俺ァ一族1の問題児,嫌われものでよォ。俺ぁ大好きだったのに。かはは。そんである日,開けるな開けるなと中身も知らず大人が守り継いできた部屋を開けてやったわけ」

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