ー野に咲く花の冒険譚ー
直後,大きな音が響いたかと思えば。
「くそ,やっぱ規格外だわ。めちゃくちゃだな」
天井が斜めに崩れ,脆さを増した。
アイザの悪態をつく余裕も,そろそろ無くなってきている。
他の隊員は負傷し半数になり,状況におろおろとそれでも戦っていた。
灰色が僕らの頭上に顔を出す。
と,どこからか爆音の音楽が流れ出した。
「とどかない!」
リリィが困惑するように僕へ訴える。
聞こえてないものの何となく予測しているドンは
「バトルシーンには粋なメロディーが必須だろ? 俺は見も心も少年なんだ」
高揚した様子でそう宣った。
「かかってこいよ! 俺は城にこいつを送り,お前の存在を知ったその日から! ずっとこの日を待っていたんだからな!!!」
仲間が二人,串刺しにされる。
唐突で酷い光景に誰もが振り向き足を止めた。
「他所を向くな! 自分の事だけ考えろ!!! 余裕があるやつは逃げたっていい! 任務中止だ!!!」
固くいくつもとがった茎を,タルトがその大剣で叩き切る。