ー野に咲く花の冒険譚ー


顔面蒼白の瀕死な2人を,タルトは片手で受け止め隅へ謝りながら出来るだけ衝撃すくなに放った。



「あーだめだめ」



相手のバラは後ろを向くものから転ばせる。

その攻撃を受けてしまうのだから,殺意がないだけ皮肉にもまだましと言えた。



「俺の愛しいバラが,そこの赤ユリに言いてぇことあんだよ,な?」



愛だの愛しいだの,雑に呼ぶ癖にその薄い顔から放たれるのが妙に白々しい。

わざとらしく,腹が立つ。

あれと同じだとは,死んでも思いたくない。

ドンがおもむろに取り出したのは……

拡声器だ。

リリィの声をひたすら拒否するくせにわざわざそんなものを持ち出してくるところに,僕は正面から嫌みを感じ取った。

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