ー野に咲く花の冒険譚ー
「じゃあ,私ももう何も言わない。葉や茎の攻撃を退けるくらいしか,出来ないからね」
「充分だ。頼んだぞ,ココラティエ」
「だっだからココでいいって……ううん,もうどっちでもいい」
「そうか,じゃあ時々で好きに呼ぶ。──ココ,行ってくる」
ぽんと頭を撫で付けるとココはきゅっと唇を結んだ。
「いってらっしゃい」
「おいこらそこ,ラブコメ始めんな。行くでしょ? ほら早く,人が死ぬよ」
「行けるか? ジョン」
「ああ,悪い」
僕は3人の顔を見て,1つ頷くのを合図に駆けだした。
人の少ない方を行けば,自然と花つきの罹患者にたどり着く。
見ると,家中に根が張っていた。