ー野に咲く花の冒険譚ー


手当たり次第と聞いて予想はしていたが,これはあまりにも,よくない。

蜂のように,攻撃しなければされないのがフラワー病の花。

それが暴れるのは,飢餓くらいしか思い付かない。

それも子供,体力も気力もすぐ尽きる。

花つきに気付いた親の,間違った知識ゆえの虐待か,そもそもの貧困か。

荒れた涼しい村を見れば,後者だろう。

一家を花の茎や根が覆っている。

これ,子供は生きているのか……?!!

花つきの死後に花がどうなるのかはっきりしていない。

それが分からないのに,外から花があるから生きているなどどうして言えようか。


「くそっ」



僕は一気に駆け込む。

初めて振るう剣は案の定ぶれたが,目の前の葉を切ることには成功した。

とはいえ慣れない気持ち程度の武器,長くは使えない。

それどころか邪魔になって,脇へと放った。

後で拾おう。

意思を感じとり,攻撃を受け,花は僕を襲う。
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