ー野に咲く花の冒険譚ー

4章 祝祭

直ぐに戻る。

その思いだけを胸に,僕は行きよりもずっと多くの我慢を自分に強いて歩いた。

花との戦闘や既に蓄積された疲労で足が棒のようになっていても,無表情で全てを包み隠した。

日が暮れるよりも前,いつもよりタルトは早く足を止める。



「タルト,まだ……」

「駄目だ。今日はここまで。皆も疲労しているし……理由は分かってるだろ,ジョン」



靴を脱げと,タルトはきつく命令した。

口を結び,動かずにいる僕を皆が見つめる。

タルトが折れる気配はない。



「……」



僕は片方の靴だけを脱いで見せた。

もう片方で身体を支えると,流石に痛んで顔が歪む。



「あっジョン……!」



僕の人より多くの衝撃を受けずに来た足の皮は柔らかく,脆い。

毎日一回清潔に洗いはするものの,山道なのもあってもうずっとぼろぼろだった。

かかとはベロンと剥げ,親指の側面も擦りきれて血が靴に付着している。
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