ー野に咲く花の冒険譚ー
「入れてもらえるかは分からないが……」
「ココ,行きたいのか?」
「うん,少し。ジョンは花嫁を見たことある? もちろん花婿だっていいけれど,花嫁は特に綺麗なのよ」
「じゃあいこう」
どうせタルトはこの先を進まないと決めている。
なら祭り1つの見学くらい,自由にさせてやったらいい。
「まぁいいか」
タルトは仕方がなさそうに微笑んで,僕たちの望みを聞き入れた。
「あら,あんた達,旅のもかい? よく来たね,タイミングがいい」
「誰かの結婚式か? 仲間が見たいと言うんだが,入っても構わないだろうか」
「ああ,飲みも食いも好きにしていい。なんたって,村長の娘,全ての村人に愛される美しく優しいお嬢さんの結婚式なんだ」
周辺で獣のよく獲れる村なのだとか。
多少余裕のある村は,村民全てに祝福された娘の結婚式を行っている最中らしい。