ー野に咲く花の冒険譚ー
僕たちはまた歩き出した。
僕が一人で前を歩く。
いつの間にか,僕たちは村がよく見える砂の高地にいた。
「ジョン,祭りは楽しかったか?」
「そこそこに。と言ってもただ通りすぎただけだけどな」
「十分だろ」
僕が腰を下ろすと,タルトは大した隙間も開けずにその横に並ぶ。
こいつは……少しぶつかれば倍の代償を搾取されるというのに,僕が怖くないのか。
「俺は,ジョンと友達になれてよかった。逢えてよかったと思ってるよ。ココも優しいジョンをすごく好きそうにしてる」
僕が,優しい?
そんなはずはない。
ココの様に色々世話を焼いたり,何かしてやった覚えなど1つもないのだから。
「ところでタルト。僕達は友達だったのか?」
「……そうだよ。ジョンが違うというなら,俺はジョンと友達になりたい」
「僕を……大事に扱うと言う意味か」
少し難しそうな顔をした後,タルトはそうだと頷いた。