ー野に咲く花の冒険譚ー
「ココラティエ,どうかしたのか? 女同士なら問題ないんだろ」
「ち,違うの。違うのよ,私……あのね,服を着て,話を聞いてくれる? ジョン」
僕はココの望みに従い,泣きそうな顔をしたココに向き合う。
「ココ……」
「私ね,恥ずかしいの。見るのも見られるのも,恥ずかしくて仕方ないの。今までこんなこと1度もなかったのに」
恥じらう理由が肌の露出だと分かって,僕は引き返そうとした。
「待って,待って。それだけじゃないの,最後まで聞いて,ジョセフィーネ」
すがるような声に,僕は袖を引いたココにまた向き直り,落ち着けばいいと抱きしめ背中を叩く。
「私ね,お姫様になりたかった。ちやほやされると嬉しかったし,恋愛を思わせる事が起きれば物凄く素敵に思えてはしゃげたの」