ー野に咲く花の冒険譚ー
アゴヒゲで体格のいい男に,ひょろりとした身体にぎょろりとした目を持つ男。
使えないと言われた方が僕と同じくらいの背丈で,自信家そうな男はそれより少し高い。
「17の女と聞いていたが……随分とボーイッシュなガールじゃねぇか」
ひゅうと口笛を吹き,そいつはにやりと笑った。
「? この髪型のことか? こんなもの伸ばしても絡まって邪魔なだけだ。それで,何の用なんだ。今のところ,僕はお前達に関わりたくはない」
久しぶりの人間。
画面越しでもない,生身の人間。
緊張でもしているのか,心なしか指先が震える。
「王命だ。お前を王の御前まで連行する。拒否権はない。俺は正直どうでもいいけどな」
「あっあんまり滅多なことは言わないで……」
「僕を,連れていく……?」
この,家の外に?
やはりこいつらは,怪しい。
この国の偉い奴に,僕を知らない奴がいるわけがない。
「……はっ,世迷い事を。それより,寧ろお前達が出ていった方がいい。身のためだ」
服をベラりと大きく捲り見せる。
思った通り,僕がどうしてここにいるのかしらないシタッパは血相を変えた。
「ふっフラ……」
「ご心配ありがとう,僕っ娘の嬢ちゃん。俺も半信半疑なんだが,俺らにそれはうつらねぇんだと」
「んなわけ……。??!!」
体格の割に俊敏な動き。
やられた……!!!!!
目の前で屈んだ男は,次の瞬間後ろから僕の腕を捻り拘束する。
王宮勤めだなんだと言っても,こいつらはおそらく使い捨てだ。
騙されている。
切り捨てられる運命だ,それはどうでもいい。
だけど