ー野に咲く花の冒険譚ー
「ココ,僕は後からまた来るから,落ち着いて水浴びをするといい。他の仲間が起きるのも,僕が見ている」
「ありがとう」
ココは最後に,僕を見て笑った。
何故泣いていたココが突然笑おうと思ったのか,僕には分からなかった。
僕はしばらくして,温もりの離れた手のひらを見つめる。
僕を好きだと言ったココの気持ちを,僕は本当に理解してやれているのだろうか。
手のひらに溶ける温度も,彼女の涙も,笑顔も。
僕の頭から,何一つとして離れては行かなかった。
ココは可愛い女の子だ。
何を不服に思って,僕ははね除けてしまったんだろう。
でも多分,その気持ちは綺麗なココの気持ちとは,また別の物なんだと思う。
ココを,泣かせたくはなかった。