ー野に咲く花の冒険譚ー


「僕はね,普通の騎士なんかじゃなくって。情報収集専門の暗躍部隊にいたんだ。何故選んだって,仕事にかこつけて女の子を抱けるから。小瓶は捕虜になった時の,自決用に渡されたもので,優秀な僕に使う機会はなかったんだ」



僕はその話をほとんど聞いていなかった。

あまりにくだらなくて,聞く気にもなれなかった。

ココは不器用にも判断を間違えて,踊らされて,僕のためにアイザの元へなんて行った。

何がそこまでさせたのか。

アイザの言葉なんて,全部気持ち半分なのに。

綺麗な身を堕とさなければいけないほど,僕は非力ではないのに。

タルトに告げ口するだけで良かったはずなのに。

いや,全部アイザが悪い。
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