ー野に咲く花の冒険譚ー
真っ赤な花を認め,僕ははっとする。
いけない,これは。
「だめだ! そいつを殺すな!!!!」
自分で飛び降りたくせに,僕は叫ぶ。
花はぴたりと止まって,ただ僕を守った。
こいつ,また……
あやめと出逢った時だけじゃない。
今も確かに,花は僕の命令を聞き入れた。
そんな,不自然な動きだった。
「ジョセフィーネ,なに? それ」
「……知るか。今はどうでもいい。僕はお前を殺さない。それが全てだ。ココはここに置いていく,お前は死ぬギリギリまでこきつかう」