4K幼馴染は溺愛がすぎる
「今まで誰にもそんな事言われたことなかったのに、夕にはバレてたんだ、、、」
「すず、、もしかして、、」
夕はきっと、鈴音が父の事を聞いただけで誰がこの痣を作った犯人なのかが分かったのだろう。
驚き、心配そうな表情で鈴音を見つめる。
「うん、これ、お父さんにされたの。」
そう言いながら、鈴音はペラっと服を捲ってお腹の痣を見せる。
「お父さんね、昔から酔ったら手が出るタイプでお母さんが夜勤行ってる時とか、しょっちゅう同じところ殴られてたの、服で隠れる所。だからきっと誰もそれには気づいてなかったと思うし、私も誰かに言ったらもっと酷い目に合わすぞって言われてたから必死に隠してた。」
夕のギュッと手を握る力が強くなり、夕の顔が強ばる。
「でも毎日いる訳じゃなかったから、それだけが、家にいない日だけが私の救いだった。で、高校生の時、私がしばらく学校休んだ時あったじゃん、、?あれ、本当は風邪でもなんでもなくて。その日、私は夜ご飯を作ってて、、お酒呑んでるはずのお父さんが何故か凄くご機嫌で、、、」
話を進めるにつれて、当時の記憶が流れてきて、上手く呼吸が出来なくなる鈴音の背中を夕が優しくさすってくれる。
「脱げって言われたの、、、、っっ、いい体してんだから脱げって、、、。私、、怖くて、、、気持ち悪くて、、、部屋に逃げようとしたら、背中にっ、、熱湯を、、っかけられて、、。跨ってきて、、、、何度も熱された鍋をお腹に当てて、、私の嘆く声を聞いて笑ってた。。。隣の部屋の人が私の声と物音を不審に思って通報してくれて、、お父さんは逮捕、親は離婚。。。これが私の痣がある理由。」
全てを話し終えて、深く深呼吸をして心を落ち着かせた後
「どう?気持ち悪いでしょ」
何も喋ることなく、鈴音の手をぎゅっと握っているだけの夕の反応が怖くて、また無理やり笑ってそう言うと
「すず、もう、俺の前では自分を装わなくていいんだよ。気持ち悪いわけない。可愛くて、愛しくてたまらない。」
鈴音の頬を触り、コツンとおでこを当ててくる夕の目から、ツーっと一筋の涙が落ちる。
「大好きだよ、すず。」
優しく微笑みながらそう言ってくれる夕に、鈴音は涙が止まらなくなり、子供のようにわんわんと泣いた。
夕は、何を言うわけでもなく優しく背中をトン、トンとさすってくれ泣き疲れた鈴音は眠ってしまった。
"ごめんね、守ってあげられなくて。"
夢うつつな鈴音の耳に、微かに聞こえた夕の声。
うっすら目を開けるも、眠気が強くて視界がぼやけ、直ぐに目を閉じてしまう。
違う、夕が謝ることなんて何も無い。
むしろ、夕達がいたからあの地獄のような日々を耐えられたのだ。
そう伝えたいのに、頭や体が重くて思うように動かない。
抵抗も虚しく睡魔に負け、夕の声も姿も見えなくなった。