4K幼馴染は溺愛がすぎる
「さっきの元カノじゃないの?」

「違うけど」

即答でそう答えられると疑うことも出来ない。

「え、じゃあ昔関係持った人達中の1人、、とか?」

「流石に俺もヤったら覚えてる」

涼しい顔をしてとんでも台詞を吐く夕に、はぁ。と刺々しい視線を向ける。
鈴音の知っている高校生の頃の夕は女の子には冷たくしているものの、モテモテでいつも彼女らしき子と下校していた。
まぁ、同じ女の子が1ヶ月以上続いた事は無いので、夕が女関係にだらしない事は薄々気づいてはいた。
でも、夕が根っこからクズで無いことを知っている鈴音は遊びたい盛りなんだろうなとそこまで気にすることもなく高校生活を送っていた。
大学での生活も同じような感じだったんだろうか、、

鈴音がモヤモヤしながら昔の事を思い出していると、夕はクスッと笑って

「なんか色々考えてるみたいだけど、俺の元カノはすずしかいないよ?」

夕のその発言に、鈴音は目を丸くする。

「え!?高校の時いっつも彼女と帰ってたじゃん!!」

「俺彼女なんて言ったことある?」

確かに、また彼女〜?と聞いても夕は否定も肯定もせずに教室から出ていくだけだった。
とは言っても!!!
中学から誰とも付き合ってないって!!!
にわかには信じがたいものの、夕の表情は嘘をついている様には見えない。

え、待って、、てことは、、

「夕ってどうて、、」

最後まで言う前に夕はまたクスクスと笑って

「どっちだと嬉しい?」

と首を傾げて聞いてくる。

「べ、別にそんなどっちでも、、」

「そっか」

夕はニコッと笑う。

「高校の時は、帰ろうとしたらいつも知らない子が隣着いてきてただけ。さっきの人もあんまり覚えてないけど、同じような感じ。」

ほんと、自分の興味のあるもの以外への関心が全くない。無さすぎる。

「俺はずっとすずしか見てなかったよ。昔も今も。」

そう言いながら手を絡めてくる夕にドキッとして固まっていると、スタッフの人が2人分のセットを持ってきてくれた事で、パッと手が離され鈴音も落ち着きを取り戻した。

「じゃあ食べよっか。」

スタッフの人にお礼を言って、ハンバーガーにかぶりつく2人。

「ん~!!!久々に食べるとやっぱり美味しいね!」

「すず」

そう言いながら鈴音の口元を指で拭って、それをペロリと舐める。

「口にソース付いてた、すずのも美味しいね」

ニコッと嬉しそうに笑いながら食べ進める夕に、先程やっと大人しくなった心臓がまたドキリとする。

付き合う事になってから、夕の事を好きだと認識してから、夕にされること全てにドキドキしてしまう。
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