4K幼馴染は溺愛がすぎる
夕に支えられながら鈴音の家へと帰ると、夕は慣れた手つきで鈴音に水を渡す。

「はい、ちゃんと水飲んで」

水を差し出す夕の手を引いて、鈴音は夕にキスをした。
まだ酔いが覚めていない鈴音はいつもより大胆に、そして何も考えずに言葉を発する。

「ねぇ、夕。私もう大丈夫だよ。夕だったら大丈夫。」

そう言って、更にキスをして次第に深いものへと変わっていく。

鈴音の身体に伸ばされた夕の手が、直前で止まり

「ほんとに、大丈夫?」

どんな時でも鈴音を大事にしてくれる夕に、鈴音の心は暖かくなる。

「うん。だって夕だもん。」

そう言うと、夕は優しく、宝物を扱うかのように丁寧に鈴音の服を脱がせていく。

「すず、綺麗だよ。」

鈴音の額に、手に、キスを落としながら甘く囁く夕に恥ずかしくも嬉しい気持ちになって夕に身を委ねる。

しかし、鈴音の心の傷は鈴音が思った以上に深いものだった。
夕が上の服を脱ぎ、鈴音の上に跨るような体制になった時、鈴音の頭には一気にあの父親にされた事がフラッシュバックし、ガタガタと身体が心と反して震え出す。

異変に気づいた夕が、鈴音を抱き寄せようと近づいたとき

「やめて!!やめて、、、ください、、ごめ、、なさい、、、」

明らかに目の焦点が合っていない鈴音を見た夕は、鈴音の体を布団で包み込んで、そのまま落ち着かせるように抱き抱える。

「すず、俺だよ。大丈夫。夕だから。」

何度も何度も、震える鈴音に、優しく、宥めるようにトン、トンと背を叩きながら声を掛ける夕。

「大丈夫。大丈夫だよ、俺しかいない。」

次第に落ち着いてきた鈴音を見て、夕はほっと安心した表情を見せる。

「落ち着いた?」

鈴音の顔を見ながらいつものような優しい笑顔でそう聞く夕に、鈴音は涙が止まらなくなる。

「夕、、ごめん、、、」

すると、夕はふふっと笑って

「ちょっと待っててね」

と部屋から出て行ってしまった。

夕が出ていった後も、鈴音の涙は止まることはなくむしろ更に溢れてくる。

呆れられたかもしれない
自分から誘った癖にこのざまだ
このまま元彼達と同じように夕にも振られたらどうしよう。

鈴音の心は不安でいっぱいになり、止めたくても溢れてくる涙を、ただただ目が赤くなるほど擦る事しかできなかった。
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