4K幼馴染は溺愛がすぎる
あの日以来、夕からは何も連絡が無い。
それがまた、鈴音の頭を混乱させ、仕事もいつものように集中できない。

幼馴染の誰かに相談して聞いてもらいたいものの、夕も関係しているこのなので勝手に喋っていいものか、と1人で答えを出せずにいる。

昼休み、コンビニで買ったサンドウィッチとコーヒーを1人で食べていると、携帯が小さく振動してメッセージを受信する。

"お前、今日時間ある?"

あっくんからの珍しいお誘いに、少し驚きながらも、予定も無いので"OK!"というスタンプで返信をすると、いつもんとこなーと返信がすぐに来た。

あっくん、どうしたんだろ。まさかこの一週間の内に彼女できたとか?そうなったらほんと私置いてけぼりじゃん。。。

気分を落としながらも、昼休みが終わるので気持ちを切り替えて仕事に戻る。
少しトラブルが起きた為、何も考えることなく久しぶりに仕事に集中できた。

待ち合わせの時刻を過ぎてしまったのを申し訳なく思いながら、あっくんと待ち合わせている居酒屋に向かう。
既にあっくんはお店に来ており、店に入ると手をヒラヒラ〜とさせて居場所を知らせてくれる。

「つっかれた〜!!ごめんね〜遅れて!!」

「大手の営業は大変そーだな。」

そう言いながらしれっと先に頼んでいたビールに口をつける。
鈴音もビールを注文して改めて乾杯をし、気になっていた本題を聞く。

「で、珍しいじゃん。どうかしたの?」

そう言うと、あっくんは少し間をあけて

「お前、夕の事、どうすんの?」

えっっっ!なんで知ってんの?
まさか、あっくんが知っているなんて思ってもいなかったので驚き、返事ができないでいると

「いや、あん時夕明らかに冗談言ってる顔じゃなかったろ。それくらい多分みんな気づいてたよ。」

まじか。まぁ、確かに私だけじゃなくてみんな夕との付き合いは変わらず20年以上。顔を見れば本気か冗談か、嘘をついているかくらいはすぐに分かる。

はぁ、とため息をついて堪らずタバコに火をつける。

「うん、で、じゃああんた、分かってて夕に私送ってけ、って言ったのね。」

あっくんを攻めるなんてお門違いなのは分かっているものの、じとっとした視線をあっくんへ向ける。

「んーまぁな。あの後夕に聞いたら気持ちは伝えた、つってたから、どーせお前の事だから返事もせずにうだうだかんがえてんだろうなーと思ってな」

そんな所までお見通しなのか、とため息が止まらない。

「いや、うん。そうだけど。ていうか、そんなすんなり受け入れられるわけなくない?!?
今までずっと幼馴染で、夕だって彼女出来たりしてたし、、急にそんなこと言われても、、」

そう言うとあっくんは、はぁ〜と、それは長い長い溜息を付いた。

「まぁ、夕が何も言ってないなら俺は何も言わんけどさ、ちゃんと考えろよな。」

「でもでも、いきなり結婚なんて、、。そりゃ昔から知ってるし信頼もしてる、、けど、恋愛的に見てるかって言われたら違うし。」

すると、私の頭にとうっ!とチョップをしてあっくんが話し出す。

「鈴音は極端すぎんだよ。別に今すぐはい結婚!なんてしなくてもいいだろ。とりあえず2人で合う回数増やしてみるなり、付き合うか、してみるなりしてみたらいいだろ。」

そう言われて、少し肩の荷がおりた気がする。
でも、良いんだろうか。もし、2人で会う回数を増やしたり、異性として夕を見てみた後、それでも無理だった場合、この今の関係が崩れるなんてことには絶対にしたくない。

そんなことを考えていると、グビっと残りのビールを呑み、新しいものを注文しながら

「難しいなら、とりあえず今思ってること全部夕に伝えてみればいいだろ。あいつだってそれ受け止める位の覚悟ねーとお前にあの後わざわざもっかい言ったりしてねーよ。」

その後も、なんだかんだとあっくんに色々説得されて、土曜日なのに明日もあっくんは仕事という事もあり、解散することになった。

別れ際に、絶対連絡してやれよ!と念を押されたのでLIMEで夕とのトークを開く。

"明日、話せる?"

これでいいかな、、、、。
何度も文字を消したり打ったりを繰り返して、シンプルが一番いいと言う結果に落ち着いたものの、なかなか送信ボタンが押せずにいる。

すると

"ピンポーン"

と家のインターホンが鳴り、ビクッと体が跳ね返る。

「だれよこんな遅くに〜〜って、え!?!」
< 5 / 79 >

この作品をシェア

pagetop