4K幼馴染は溺愛がすぎる

最終章

次の日目を覚ますと、隣に夕の姿がなく慌てて鈴音は体を起こす。

え!寝坊?!

と時計を見るも、いつも起きる時間よりも30分も早い。

トイレ?朝弱い夕がこんな時間に起きてるわけないのに。。。

そう思いながら、夕を探しにリビングの方へ行くと何やら良い香りと心地よい包丁の音が聞こえてくる。

「え!!夕?!?」

リビングには鈴音のエプロンをつけて朝ごはんを作っている夕が立っていた。

「あぁ、すずおはよう。」

朝だと言うのに、とてつもなくご機嫌に料理をしている。

「え、、夕起きれたの、、、?」

失礼すぎるのは重々承知だが、疑問がそのまま言葉となって出てしまった。

「幸せすぎて目覚めちゃった」

心から幸せそうな笑顔を向けて笑いかけてくる夕に朝からノックアウトされる鈴音。
ガシッと自分の胸元を掴みトキメキを抑えていると

「大丈夫?!どっか調子悪い??」

夕が慌てて駆け寄ってきてくれる。
なぜだか今日の夕はいつも以上に輝いて見えてしまう。
クリスマス効果??クリスマス、、、クリ、、

鈴音の顔はボンッと爆発したかのように一気に赤く染まる。昨日の自分の大胆すぎる行動を思い出したからだ。

「ちょ、ちょっと顔洗ってくる。。。」

落ち着かせるためにも洗面台に行っていつも通りのルーティーンを始める。

「ふぅ、、、」

リビングに戻ると朝ごはんを夕が作って待ってくれていたので、席について食べ始める。

いつも鈴音が作るのは和食の朝ごはんが多いが、今日夕が作ってくれたのは食パンや目玉焼きといった洋食だった。

「わぁ〜!!久々に朝パンだ!!スープまでついてる!!美味しそ〜!!!」

嬉しそうにパンにかぶりつく鈴音を見てクスッと笑いながら夕も食事に手をつける。

至ってシンプルな食事なのにびっくりするほど美味しい朝食に、鈴音はおかわりまでしてしまった。

夕は嬉しそうに笑って

「そんなに喜んでくれるならたまには俺も朝ごはん作ろうかな」

なんて言ってくれたが、今でも充分過ぎるほど家事を手伝って、、いや、ほとんど夕がしてくれているのに朝ごはんまで作ってもらっては申し訳ないと言うのと、何よりあの朝の弱い夕がこれからも早く起きられる確証もなかったため

「朝ごはん位は私に作らせて?」

と言うと、夕は嬉しそうに

「すずの作るご飯食べると仕事頑張れるから嬉しい」

なんて甘々のセリフを言われて朝から鈴音は幸せな気持ちが止まらない。

いつもより早く起きたこともあり、ゆっくりと支度ができた上に少し時間が余ったため、コーヒーを飲みながらニュースを見て何気ない話をする。

「夕は今日が仕事納めでしょ〜?良いな〜!!私は明日も仕事だああ」

「ふふ、じゃあ明日は俺が腕によりをかけて晩御飯作って待ってるから頑張って」

チュッとキスをされて、やる気がみるみるうちに湧いてくる

「よし!!!残り2日!!頑張るぞおおお!」

夕も頑張ってね!と、もう一度キスをして家を出る。

明日仕事が終われば明後日は夕の誕生日!!

夕の誕生日の準備はもうバッチリな鈴音は早くお祝いをしたくてうずうずが止まらない。

"あー、はやくお祝いしたいな〜!!"幸せ絶頂の鈴音は、仕事納めも難なく終えて明日は待ちに待った夕の誕生日。

最後の仕事を終え、同僚達に恒例の年末挨拶を済ませてから家へと帰る。

家には昨日仕事納めを終えてゆっくりと休日を楽しんでいる夕がいた。
もうお風呂に入っていた様で、毛先が少し濡れて首にタオルをかけた状態で迎えられる。

「おかえり、お疲れ様」

ちゅっと頭にキスをされ、鈴音もそれを嬉しそうに受け入れる。

「ただいま!夕!明日はすっごいから!!楽しみにしててね!?!」

そう言うと、夕はふはっと柔らかく笑い

「うん、ありがとう。楽しみにしとく。」

と今度は唇にキスをされた。

鈴音はお風呂に入りながら入念に明日の段取りを頭の中でチェックする。

まずはこうして、あーして、うん、完璧だ。

湯船につかりながら、考えていた時にふと、自分の痣が目に入る。

今ではこれを見ても発作も起きなくなったなーと、ふふっと何故か笑ってしまう。
今でも自分にとって、この痣は嫌な思い出の詰まった、取り除けるものならば取り除きたい物には変わりはない。
でも夕がたくさんの愛情を注いでくれて、こんな身体の自分を見ても綺麗だと言ってくれた事で、鈴音の気持ちは後ろ向きで塞ぎ込んでいたあのころとは違い前に進んでいるのだ。
それに、今ではことある事に痣が気にならない程に夕にキスマークを付けられる為、別の意味で体を見られない。

なんにせよ、夕の存在は鈴音にとってこの1年程度で遥かに大きなものへと変わった。
もちろん、他の幼馴染み達もとても大事でなくてはならない存在なのだが、これからの一生を添い遂げると約束し、家族になる夕の存在は格段と大きなものとなっている。

まさか、自分があの過去を乗り越えられるとはな〜

と余韻に浸り、ご機嫌に鼻歌を歌っているとコンコンと、ノックをされる。
ドアの前には背の高い夕のシルエットが見える。

「どうしたの〜??」

そう返事をすると

「すずさんすずさん。そろそろ出てきてよ。せっかく仕事終わってゆっくり出来るのにひとり酒は味気ないなぁ〜」

そう言われてお風呂の時計を確認すると、もうはや1時間もお風呂に入っていた。
いつもの倍は入っていた事に驚き

「うわ!ほんとだ!すぐ出るねー!」

「わかった」

夕はそう返事をしたものの、ドアの前から動く気配が全くない。

「夕さん??リビングで待ってて欲しいんですが。。。」

「俺もうすぐ誕生日なのに〜?」

駄々っ子のような声でそう言われても、好き好んで好きな人に着替える所を見られたいのか、とこころのなかでツッコミを入れ

「まだ誕生日じゃないでしょ。」

とジトッとした声で言うと、夕はニヤっとしたのが分かるような声色で

「じゃあ誕生日ならいいんだ?」

鈴音の返事を聞く前にリビングの方へと歩いていってしまった。

やってしまった。。。

きっとこれは明日は一緒にお風呂に入ることになるだろう。と鈴音は頭を抱える。
もう何度も夕には裸を見られているので、痣を見られたくない。と言うよりも恥ずかしいのだ。
明るいお風呂の中で、2人。きっと夕の事だから鈴音の事をじーっと見るに違いない。
実際、何度かお風呂に一緒に入った時、夕は当たり前のように体を洗う鈴音を嬉しそうにじーっと見つめるか、洗ってあげるよ、なんて言ってお決まりのようにエッチな流れになったり。。。

はぁぁぁぁ。と深いため息をついて、体を拭いてスキンケアやボディクリームを塗る。

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