4K幼馴染は溺愛がすぎる

第二章

夕の提案を了承してしまった手前、このままで行くことも出来ず、ワンピースに着替えてメイクをする。

美顔器とパックのおかげで朝よりかは幾分かマシになっている様で少し安心する。
髪の毛も、ワンピースに合わせて緩く巻いてお気に入りのアクセサリーを身につけ夕の元へと急ぐ。

「ごめん!おまた、、せ、、」

ソファーに座っている夕は、いつもとは全く違っていた。
いつもは動きやすいから、とパーカーにダウンが夕の定番スタイル。むしろ、ほかを見たことがないレベルだ。
なのに先程は焦りで気づかなかったが、目の前にいる夕はカジュアルなニットにコートを着て髪の毛もいつものように寝癖はついておらず、軽くセットされている。
元々顔がかっこよくてスタイルの良い夕が着ると一層かっこよく見えて、思わず固まる。

夕は突然黙った鈴音を不思議そうに見つめて

「どうしたの?もう出れる?」

と聞いてくる。

「う、うん!大丈夫!お待たせ!」

慌てて返事をして、誤魔化すかのように2人で家を出る。
外に出て、鈴音はあることに気がつく。

「てか、今日どこ行く?何も決めてなかった、、、。」

「あぁ。映画行かない?すずが観たいって言ってたやつ見に行こうよ。」

「え!あれ恋愛ものだよ?!夕興味ないでしょ!」

すると夕は少しムスッとして

「そんな事ないし」

と答えるので、夕の好意に甘えて映画を観ることにする。

「久々だよね〜!2人で出かけるの!前は仕事落ち着いてたし、しょっちゅう寝てる夕叩き起して連れ回ってたよね!」

そう言うと、何故か夕は更に不機嫌な顔をしてマフラーに顔を埋める。

「初めてだよ。今日は。」

意味のわからない事を言う夕に首を傾げ

「?何回もあるじゃん!2人で遊ぶのなんて!」

そう言うと、少し後ろを歩いていた夕は鈴音の隣に来ると、鈴音の手を取り

「初めてだよ、今日はデートだから。」

やっと意識せずにいつも通りに戻ってきたと思っていたのに、一気に元に戻ってしまう。

「あ、うん、そっか、、、。」

咄嗟に目を逸らしてしまい、その場に固まっていると、ふっと笑って手を引かれる。

小学校の時の柔らかくて鈴音より小さい手ではない、ゴツゴツとしたいつの間にか鈴音よりも大きな温かい手。
それが、夕は男の子なんだということを改めて認識させ、顔に熱がこもり恥ずかしくなる。
でも、不思議と手を離したいとは思わなかった。

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