再会は魔法のような時を刻む~イケメンドクターの溺愛診察~【リニューアル版】
「わ、私が悪いっていうの? 私はあの人に小川総合病院を継いでほしくて、それで……頑張ってって……励ましてただけなのに」


『少し、重かったのかも知れない。城田は小川総合病院を継ぐことよりも、きっと小川先生が大事だったと思う。一緒に笑ったり、泣いたり、話したり、出かけたり……2人で色々なことをしたかったんだろう。でも、顔を見る度に君から病院を継ぐことばかり言われてしまうと、プレッシャーになっていったんじゃないか』


そんなの……
そんなの勝手だわ。
私には、小川総合病院を継ぐことが1番大事なことなのに。


「だ、だからって浮気していい理由にはならないわ」


『ああ、そうだな。俺もそれは城田にキツく言った。きっと反省してると思う。でも、あいつも意地を張ってしまって……』


「悔しい。あの人、私より若い看護師と……」


思わず涙がこぼれた。
嫌だ、私としたことが、こんなバカなことで涙を流すなんて。
病院を守る立場の私が泣いてはいけない。
強くならなければ……


『つらかったな』


「えっ……瑞先生?」


先生のとても穏やかな声。
顔は見えないけど、きっと……
すごく優しい顔で言ってくれてるんだと思った。
そう思ったら、たまらなくなって、我慢できずに声をあげて泣いた。
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